恋の教習所
友紀はどう答えるんだろう。

向こうはもう話をしていた。


「まだ誰にも聞けてないよー。人数も多いしなんだかみんな忙しそうで。」

『そっかー。オレも手伝うって言ったけど看護師の方見てたら帰るの遅くなってる人とかいるもんなぁ。』

どうやら友紀の部署以外、他の部署では帰る時間も遅くなったりしているようだ。

「そうなんだ。吉川君事務だからある程度みんなの動き見えるんだね。」

『そうそう。みんな更衣室行く時に事務の前通ってるから。じゃあまた様子見て何人かでも聞けたら教えてよ?』

「うん、わかったー。」

『そんじゃあお疲れー。また明日な。』

「お疲れ様。またね。」


こんな感じで電話は終わった。
なんだかノリは良さそうだけど、そんなに押せ押せでもないような??

「お疲れ様ー。」

私は友紀にねぎらいの言葉をかける。

「聞こえた?」

「微かにね。」

受話音量を大きめにしてくれていたのか確かに会話の声が聞こえた。
聞いてしまってもいいのかとも思ったが。

「あんな感じの人。でも今日は前より控えめだったかな。」

という事は、前回の電話はもっと賑やかだったという事か。

「でももう事務の人には話たって言ってたー。」

そうだ。
私もまだ言ってないんなら・・・・って可能性も考えていたんだ。

しかし私たちの予想を期待?を見事に打ち砕いている発言が返ってきたんだ。


「そうだよねー。でも友紀たちの事心配してるみたいだったね。」

「うん。確かに他の人の所で忙しい時は残ってる光景見た事あるもん。」

入って一ヶ月。
同じ職場内とはいえ、違うものだ。

「逆に心配してくれてる感じがしたからいい人なのかな?」

「出た!みちゃきのいい人攻撃。」

いい人攻撃って。

「何それ??」

「優しそうだったりそんな感じがしたら、いい人かなって言うじゃん。」

・・・・・・確かにそうかも。
付き合いが長いのかよく私の事を見てくれているのか、私はよくそう言う。

「気をつけなよー?いい人はそう見せてるだけかもしれないよ?変な人にひっかかりそうで私はちょっと心配するよ。」

「ありがとう。それが友紀の良い所だよね。」

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