恋の教習所
そんな学科を受けていたからか、この時間たいていの質問には答える事が出来た。

相変わらず教習生の頭の上には音符。

当たらなくて済んでいるから。

気負うことなく学科を受けているのだろう。


「教官、しつもーん!」

一人の男の子が声をあげた。

「おっ!何でもきなよ。・・・ただ僕に答えられそうなやつをお願い。」

後半付け足しの様に言わなくても。


「教官って結婚してるんスかー?」

最近の、ちょっと元気の良さそうな言葉遣いでしてくる質問は爆弾だ。

「それどういう意味?僕の頭が薄いから相手いそうにないって事がいいたいの?」


そこまで言ってないのに・・・。

教習生、なんて返事をするんだろう?

・・・・・何気に気になる。


「ハゲてるとかまだ言ってないし。っていうかまさか結婚してるとか?!」


あっ・・・・・!!

言ってしまった・・・禁句の一言。

よく堂々と言えるよね。

思っていても口に出せないと思うんだけど。


「残念だなぁ。苦田君の期待に応えられなくて・・・。」

「ということは?!」

苦田と呼ばれた教習生以外の教習生も視線は山本教官へ。

もちろん笠井君と私も。


「してるよー。あと可愛い娘が二人いる。」

またしてもあっさりと答えた山本教官。


「えーーーー!!マジで?!」

山本教官の答えに苦田君の声は大声になり、教室内に響いた。


苦田君、山本教官があっさり答える時はね・・・・・。
< 57 / 111 >

この作品をシェア

pagetop