恋の教習所
苦田司(にがた つかさ)、最近入校した教習生。

私は知っている。

あの日谷川教官から写真と名簿を受け取った中にいたから。

他にもこの教室にいる教習生の写真もあった。


でも、そんな苦田君たちは知らないだろう。

山本教官があっさり答えた後の事を・・・。


「みんな・・・。」

ほら来る来る・・・。

「頭が薄かったら相手が見つかりにくいと思ってたんでしょ?」

来たよ来たよ・・・。

「残念だったねー。期待通りの答えじゃなくて。」

谷川教官を見ているみたいだ。

うちの教習所はこうやっていじるのが好きな人が多いのかな。


「そうっスねー。相手はどんな人ですか?」

なんと苦田君、山本教官のいじりを恐れる事な次の質問をする。

「14歳下かな。」


「えーーーっ!!!」

その反応は正解かもしれない。

私も初めてこれを聞いた時にはかなり驚いた。


そう、山本教官の奥さんは14歳年下。

年の差結婚。

そして奥さんは元教習生だとか。

教官と教習生、さらに年の差婚を成功させている。


私の・・・・・憧れだったりする。

「ビックリした?大抵みんなビックリするね。こんな感じで人生には色んな道があるんだよ。みんなもそれぞれの道で出会う人がいるんだよ。いい人、悪い人色々ね。その中でいい人と道が歩けるといいね。」


私の道で出会うのは・・・。

願いが叶うといいな。


「車もね、色んな道を走るでしょ。ただ、通っていい道とだめな道があるからよく標識だったり標示も見なければいけないよ。注意を払えってことだね。」

車に喩えた。

そう言えばこの時間の学科って・・・・・。

“教習項目:4車が通行するところ、車が通行してはいけないところ”だ!!

人生と教習内容をリンクさせてしまった。

谷川教官も凄いけど、やっぱり教養担当をするくらいだ。

山本教官も凄かった。

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