恋の教習所
「ありがとう!頑張るね!」

私も

「ありがとう!」

笠井君も嬉しくなってお礼を言う。

やっぱり教官になりたい私たちは、見習いでも教習生と話が出来ると嬉しかったりする。

接点が少ない分余計に、だろうか。


こんな状況を作ってくれた山本教官に感謝だ。


教習生が教室から出て行った後で私たちは山本教官の所へ行った。

「山本教官凄いです!ありがとうございました。」

笠井君が自分の教習原簿を受け取った。

「凄かったです!ありがとうございました。」

私も差し出された教習原簿を受け取る。

「僕も学科するんだよって所を見せてみた。」

なんて笑う山本教官。

「でも、教習生が食いついてました。当てられない事がわかったら寝てしまいそうなのに。」

笠井君の言う通りで。

谷川教官はバシバシ当てるから寝る暇がない、と言う話をちょこちょこ聞いていた。

その話は正解だ。

本人もそう言っていたから。

寝させない為にも質問を使う、と。

「谷川君が質問しながら眠気を逸らしてるのは知ってるから、それ以外で行こうかと思って。」

思ってって言われても、そんなにすぐに思いつくものではないと思う。

「その場で思いついたんですか?」

私は気になっているから聞いてみる。


「んー、そう言う事もあるし、ある程度ここではこの話をしようってネタを作ってることもあるかな。二人も今のうちからネタ考えておくといいかもね。」

なるほど。

ネタか。

日頃どれだけ自分の周りでおきた出来事を注意深く見ているか。

注意しながら物を見る事。

運転にとっても大切な事。

私のこれから先の教官人生の中でも大切な事。


メモ、メモっと。

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