恋の教習所
教科書を抱えて事務所に戻った私。

自分の机に座って少し休憩。

4月の良い季候につられて・・・・・少し眠くなってしまう。

・・・・・・・このままここに座っていたら私は寝てしまうそう。

まだまだこの辺が学生の頃のままなのかもしれない。

でも・・・。

ぼーっとしてしまう。


「一ノ瀬さん?」

向かい側の笠井君が声をかけてくれる。

「一ノ瀬さん、大丈夫?」

「うん。ありがとう。季候が良くてぼーっとしちゃってた。」

「確かに気分はよくなるよね。」

私たちはそうそうと話をしていると。


「山本教官の学科、どうだった?」

次の学科には出るのか谷川教官が教科書を持って近づいてきた。

そうだ、直前に入れ替わってしまったんだ。

「凄かったですよ!みんな当てられないって分かっているけど寝る事なくて。話もまとまってて。」

笠井君が説明をした。

「直前まで谷川教官でしたよね?」

私は疑問に思っていた事を聞いてみる。

「そうなんだよ。学科に行こうとしていたら山本教官に頼まれてね。」

頼まれたってどういうことなんだろう?

「頼まれたって?」

笠井君も気になったらしい。

私が聞こうとしていたら先に質問をした。

「二人が学科を聞いてるのはもちろん知ってるから、どこまで勉強しているか見てみたいから変わって欲しいって。」


そういうこと。

だからいきなりの交代だったんだ。


「一ノ瀬さん昨日言ってたのにね。また時間があれば聞きにおいで。」

谷川教官は昨日の話を忘れたわけじゃなかったんだ。

少し安心した。

「はい、よろしくお願いします。」

また時間があれば行こう。


< 61 / 111 >

この作品をシェア

pagetop