恋の教習所
「姉妹校に机を渡す事になって、明日その机を取りに来るんだ。」

うちの教習所は他にも2校姉妹校があって、そのうちの1校舎が机が足らないとの事らしくうちのを取りに来るらしい。

確かに一番大きいのがうちの教習所で。

倉庫の中には机や椅子はもちろん、合宿生の部屋の椅子、食堂の食器などたくさん置いてある。

必要に応じて各教習所取りに来ていた。

「倉庫から机を出して・・・そうだな、わしの後ろでもいいから運んでおいてもらいたいんだ。お願いできるかな?」

所長の席は一番奥の壁を背にして座っている。

元々壁が背になっているから狭いんだけど。

・・・もっと狭くなってもいいのかな?

「はい、わかりました。」

笠井君が席を立つ。

もちろん私も。

「よろしく。これ、倉庫の鍵ね。」

所長は鍵を私に差し出した。

私はそれを受け取り、ふと朝礼で言っていた所長の連絡事項を思い出した。


そう言えば・・・。

“明日姉妹校からうちの机を二つ取りに来る事になった。午前中には小川さんがトラックで取りにくるからよろしく。”

こんな事を言っていた。

小川さんって誰だろう?

私が免許を取った時にもいなかったな。

なぁんて考えていて、所長に今言われるまで忘れていた。

自分にはあまり関係してこない話だと思ったから。


「じゃあ頼んだよ。」

所長の言葉に

「わかりました。」

今度は鍵を受け取った私が返事をする。


笠井君と二人で3階の倉庫まで階段を上がる。

廊下を歩いて倉庫までの間に教習生用のプレイルームがいくつか並んでいる。

一部屋にはプレステ2やらなんやらが置いてあるゲームルーム。

ソフトは受付に行って借りる事になっている。

また一部屋には簡単な運動が出来るように、ウォーキングマシーンが3台並んでいる。

そして他の部屋には・・・・・


カン コンッ


と音が聞こえて来る。



< 63 / 111 >

この作品をシェア

pagetop