恋の教習所
まずは一つ。

エレベーターに乗せて机を下ろす。


チーンッ

2階で止めたエレベーター。

先に笠井君が降りて、私はドアが空きっぱなしになるようにボタンを押す。

これでいきなりドアが閉まる事はなくなった。

机を出している最中にドアが閉まってしまったら困るもん。


二人でエレベーター内から机を出す。

教習生が使うかもしれないからボタンを押して手動にしていたのを解除。

そしてまた事務所まで運んで行く。


「おお!重いか?!」

私たちの姿が見えたのか、所長はペンを置いてこっちに来てくれた。

「よしよし、一ノ瀬さん手を離してもいいぞ。」

所長が言ってくれたから私は手を離す。

残りは所長と笠井君が事務所内まで運んでくれた。


置き場所は確か所長の机の後ろ。

その近くまで運んで来て、足が止まった。

「ありゃ、こりゃちょっと狭いかな?」

実物の机を置いてみて所長は少し困ってしまったようだ。

所長サイズの少し大きめの机の後ろ。

同じサイズでないとはいえ、運んで来た机を置くと狭くなりそうだ。

「う~ん・・・ロビーに置くわけにはいかないし。ちょっと狭くなるけど一日だしいいかな。」

所長の中で位置は決まったようだ。

「やっぱり最初の通りわしの後ろで頼むよ。」

笠井君は頷いてそのまま所長と机を運んだ。


二つ目の机も同じ。

エレベーターに乗せて下へ。

またそこから所長が手伝ってくれて、事務所へ。

先ほどの机と並べて設置。


「やぁー、助かったよ。ありがとう。まぁ勉強ばかりも疲れるだろうからコーヒーでも飲みなさい。」

そう言って倉庫の鍵と引き替えに、小銭を渡された。

「ありがとうございます!」

私は所長から二人分受け取った。

「ありがとうございます。」

笠井君もお礼を伝えてから二人で自動販売機へと移動した。



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