恋の教習所
「三咲、わしはこれから教習車を洗ってくるぞ。」
湯浅教官はそう言って部屋から出ようとした。
谷川教官からのよろしくから逃げようとしているのかと思った。
もちろんそれを聞いた谷川教官は
「またほんとお願いしますよ。湯浅教官たち上の人がまだ頑張ってくれてるから僕たちもやれるんですよ。」
なんて普段使わない一人称を使ってお願いをする。
「おうおう、またな。」
きっと受けないだろうな。
二輪以外にも当然普通車、検定、大型なんでもこなす湯浅教官。
今まで頑張って来たんだから、若手にって言っていた事もある。
私もついて行こうと席を立った。
「あ、一ノ瀬さん!」
谷川教官に呼ばれて振り返る間に、湯浅教官は行ってしまった。
ついて行こうにも谷川教官に呼ばれている。
なんだろう?
「はい?」
内心なんだろう、でも嬉しいな、なんて思いながら返事を返した。
すると谷川教官は、制服の内ポケットからパスケースを出して。
「これ、覚えてる?」
その中から名刺サイズの紙を出して私に見せた。
!!!
覚えているもなにも・・・。
「それ!まだ持っていてくれたんですか?!」
「もちろんだよ。18歳の時のきみが送迎バスの中で渡してきたんでしょ。」
そう、谷川教官が手にしているのは私が渡した名刺。
それも自分で作ったやつ。
卒業してしまって寂しくなるし、繋がりが欲しかったから。
「二輪取りたいから連絡下さい、って言ったよね。」
当時の私の言葉までしっかり覚えてくれている。
「はい、それから本当に連絡をくれて。」
「きみは大学に通いながら二輪を取りに来たよね。」
「そうですね。その時は谷川教官が教えてくれましたよねー。」
「そうそう。オレ以外の指導員の教習はキャンセルしたんだよね、谷川教官でお願いしますって。」
・・・・・そこまで、覚えてるんだ。
確かにこの教習所は、通学生は教官の指名が出来る。
私は谷川教官を指名したんだ。
湯浅教官はそう言って部屋から出ようとした。
谷川教官からのよろしくから逃げようとしているのかと思った。
もちろんそれを聞いた谷川教官は
「またほんとお願いしますよ。湯浅教官たち上の人がまだ頑張ってくれてるから僕たちもやれるんですよ。」
なんて普段使わない一人称を使ってお願いをする。
「おうおう、またな。」
きっと受けないだろうな。
二輪以外にも当然普通車、検定、大型なんでもこなす湯浅教官。
今まで頑張って来たんだから、若手にって言っていた事もある。
私もついて行こうと席を立った。
「あ、一ノ瀬さん!」
谷川教官に呼ばれて振り返る間に、湯浅教官は行ってしまった。
ついて行こうにも谷川教官に呼ばれている。
なんだろう?
「はい?」
内心なんだろう、でも嬉しいな、なんて思いながら返事を返した。
すると谷川教官は、制服の内ポケットからパスケースを出して。
「これ、覚えてる?」
その中から名刺サイズの紙を出して私に見せた。
!!!
覚えているもなにも・・・。
「それ!まだ持っていてくれたんですか?!」
「もちろんだよ。18歳の時のきみが送迎バスの中で渡してきたんでしょ。」
そう、谷川教官が手にしているのは私が渡した名刺。
それも自分で作ったやつ。
卒業してしまって寂しくなるし、繋がりが欲しかったから。
「二輪取りたいから連絡下さい、って言ったよね。」
当時の私の言葉までしっかり覚えてくれている。
「はい、それから本当に連絡をくれて。」
「きみは大学に通いながら二輪を取りに来たよね。」
「そうですね。その時は谷川教官が教えてくれましたよねー。」
「そうそう。オレ以外の指導員の教習はキャンセルしたんだよね、谷川教官でお願いしますって。」
・・・・・そこまで、覚えてるんだ。
確かにこの教習所は、通学生は教官の指名が出来る。
私は谷川教官を指名したんだ。