恋の教習所
キーンコーン カーンコーン


教習の終わりを告げるチャイム。


「この時間の教習は終わりです。」


チャイムの後の放送。



変わらないなぁって思っていたら



「一ノ瀬さん、どうかな?調子は。」

声が聞こえた。

声の方を私は振り向いた。


「湯浅教官!」

声の主は・・・ちょうど今考えていた相手。
湯浅元治(ゆあさ もとはる)教官。
教習が終わったから車から降りてきて、話しかけてくれた。

「まさか指導員見習いとして来るとは思わなかったよ。」

「そうですよね。私の運転は一番知ってますもんね。」

「そりゃぁもう。大変だったぞ・・・!」

「やっぱり~~。今も練習してたんですけど、大変で・・・。」

こんな口調で話をして、笑えるのも担当と教習生の繋がりがあったから。



「おかしいなぁ、わしがちゃんと教えたはずなんだけどなぁ。」


確かに私は湯浅教官がつきっきりと言ってもいい状態で教習をした。
友達はみんな結構担当の教官が代わったりしていた。
だから、しっかり湯浅教官に教えてもらっている、はずなんだけど。


「湯浅教官。一ノ瀬さんをまたお願いしますよ。」



私と湯浅教官が話していたら、山本教官と笠井君が戻ってきた。

 
あぁ~あ、もう休憩終わっちゃうのかぁ。



「山本君、一ノ瀬さんを頼むよ。笠井君は大丈夫そうだから安心だな。」


そう言って湯浅教官は校舎へと足を進めた。



あとに残されてた山本教官。



「とんでもないお願い事をされたかもしれない。」


って私を見た。

笠井君も見てるし。


「頑張ります。」


湯浅教官と話をして笑ったかもしれない。
今度は自然と言葉が出てきた。


よし!また頑張ろう!!


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