恋の教習所
教習項目5:恋はいつでも最優先

~一ノ瀬三咲の場合~

今日も一日が終わった、終わった。

お風呂に入ってホッと一息。

明日も仕事。
明日も教養。

審査までは勉強もしないといけない。

私は教科書を机に並べつつ、私の中で起きた出来事を思い出していた。


机運びを手伝ったら、初めて他校の人、小川さんに会った。

谷川教官と比べると、ちょっと背が低い。
でも、穏やかで優しそうな人。

正直免許を取ったのも今の教習所で、就職したのも同じ場所だと他の学校の事を知らない。
私にとっては小川さんはもの珍しいのもあってか、余計に印象に残っていた。


さらに谷川教官が話しかけてくれて。

私が免許を取った時の事を覚えてくれていて。

・・・・・メールのことも。



ふとそばに置いてあるケータイを見た。


・・・・・・鳴らない。


でも、谷川教官がああ言ってくれたから。



・・・・・・メール、してもいいのかな?


一度気になり始めると、どんどん気になってしまう。


メール来ないかな?

メール送ってもいいのかな?



私の中でその言葉が何度も繰り返される。
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