恋の教習所
いつものように出勤をして、空いている所に車を止める。

だいたいみんながどこに止めているか分かってきた。

だから私もほぼ同じ場所。


車を止めて荷物を出そうとしていたら

「おはよう!」

後ろから声が聞こえた。


「おはようございます!」

私は元気に振り返る。

「谷川教官!」


そう、私に声をかけて来たのは谷川教官。

昨日の夜、ちょっとメールを期待して待っていた相手。


それは見事に期待だけで終わったけど、今朝一番に会えたからいいカモ?


「昨日メール待ってたんだけど。」


え?!
今谷川教官、なんて言った?


「え??」

私はハテナが舞ってしまう。

「昨日、メールの話したからもしかしたら送って来るかと思ってたのに。」

まさかまさかの発言をする谷川教官。

「え、私は谷川教官がああ言ってくれたから、メール送ってくれるのかと思って待ってましたー。」

途中で寝ちゃいました、とはさすがに言えないけど。

「そうなの?オレはきみが送って来ると思ったんだけどなー。」

「えー。そんなぁ・・・。」

私は送っていいのかわからなかったし、待っているだけだった。


聞いてみようかな?


「送ってもよかったんですか?」

この会話はきっと、送ってもよさそうだけどあえて聞いてみる。


「いいよっ!」

そう言って谷川教官は笑った。


うわっ!言ってみるもんだ。

「わー!ほんとですか?ほんとに送っちゃいますよー?」

何度も確認する私に

「いいよっ!二輪の免許取りに来る辺りの頃もメールしてたもんね。」

送ってもいいと言ってくれた谷川教官。


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