恋の教習所
自分の部屋の時計を見つめる。

いつも私を仕事へ行くために起こしてくれる目覚まし時計。

その時計が時刻を告げる。


夜、8時30分。


すべての教習が終わった時間。

きっとまだ片付けとかで教習所内に残っているだろう。


でも私は待ちきれず、そして一番送りやすい内容で送れるのがこの時間だったから。


【お疲れ様でした。大丈夫だとは思いますが、気をつけて帰って下さいね。】


こういったメールを送った。


送る時、何度も何度も何度も、字が間違ってないかとか文章はおかしくないかとか確かめて。

さらに送信ボタンを押す手を止めて考えたりしながら、送ったメール。

ケータイの待ち受け画面に

“送信完了”

と出たのを確認すると・・・・・。


ドキドキと私の心臓はさらに大きな動きになった。

普段はそう緊張しない私だけど、ここばかりは違うみたい。



そして次にとる私の行動は・・・。

・・・・・返事が来ていないかと、新着メールを受信してみる。


そんなに早く返ってくるなんて思ってないけど。
それでも気になる。


まだかな?まだかな?

メール、気づいてくれたかな?


楽しみで仕方がない。

今日一日頑張れたのも谷川教官の言葉のおかげ。

「メールしてもいい。」
たった一言だけど、嬉しい一言。


谷川教官は、教習所から家まで1時間ちょっとかかるって言ってた。

家に帰ってから返事を送ってくれるのか。
途中に寄ったコンビニで送ってくれるのか。


・・・・・それとも、言葉だけで本当は返事なんてこないのか。


今の私にはどの可能性もありそうで。
ドキドキしっぱなしだ。
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