恋の教習所
「じゃあ、笠井君今度は運転席。一ノ瀬さん後ろね。」

山本教官の言葉通り私は後部座席に乗り込む。


カチッ


その後は当然シートベルト。
・・・今まで正直後部座席でシートベルトなんてしたことなかった。

さらに運転席の笠井君が

「ドアロックとシートベルトはいいですか?」

同乗者に声をかけるんだ。
これも声だけじゃだめで、声をかけた後は自分で乗っている人を見て確かめる。

「はい、いいですよ。」

「大丈夫です。」

私たちも返事をする。

「じゃあ、発進して下さい。発進したらまずは外周一周ね。」

これでやっと発進。

・・・・・なんだけど、発進前に左の後ろ窓から順番に発進前の確認をしてから出発。
笠井君もちゃんとやっている。
後ろに乗って人の運転を見るのも、勉強。

笠井君の運転しっかり見て、自分に出来ていない事を見つけていこう。



コースには数字が書かれたプレートが立っている。
交差点になっている所、坂道への入り口、クランク、S字。
教習生が二段階に入って使う方向変換にも。
この数字を使ってコースを指示していく。


「外周回ったら、5番交差点を右、信号直進をして3番を左。」

笠井君も指示通りに車を走らせていく。
その指示も、2つ3つ一緒に指示をされるからしっかり聞いていて、合図を出すタイミングや確認をするタイミングも考えていかないといけない。

緊張していたら聞き逃してしまいそう。


当然練習中の私たちの車以外にも教習中の車も走っている。
教習の邪魔をしてはいけない。

他の車のこと、運転手のことまで考えながら運転しないといけなくて。
指導員になったら、助手席から指導しながら、気を遣いながら教習してってかなり大変。


私も後部座席からだけど、自分が運転をしているつもりで周りの教習車の事も考える。





あっ!!

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