恋の教習所
教習項目6:交わり始める運命

~一ノ瀬三咲の場合~

あの初メールから何日かして。


ついについに!
この日が来たんだ!!


今日仕事が終わったら、私一ノ瀬三咲!谷川教官とデートします!!

・・・・・って気が早すぎました。
デートではなくて、お食事です。

それも可愛い感じなお店、オシャレなお店ではなくて。


「後1時間したら焼き肉だねー!」

廊下を歩く私に対して、谷川教官が後ろから声をかけてきた。

思わず周りに誰かいないかと、キョロキョロ周囲を見回してしまう。


大丈夫みたい。


「はい!楽しみです!」

私は足を止めて、振り返って返事をする。

この時間の学科を受けたら私は退社。

谷川教官も退社。

私は残業しないから、いつもの時間だし別に問題ないだろう。


谷川教官は・・・・・。

「今日、退社したいって言ってくれたんですか?」

うちの学校は配車係の人に予定があったりで、配車を変える時は連絡しておかないといけない。

そうでなければ前日までは空いていても、当日ギリギリで通学生が入ったりする。


「そうだよ。元々空いてはいたから言いやすかったよ。」

足を止めている私の所まで谷川教官はやってきた。


「そうなんですか~。それならよかったです。」

私はもしかしたら迷惑をかけたかと思って気にしていた。

「この時間終わったら、とりあえずいつものような行動しなよ。後から連絡入れるから。」

きっとみんなに怪しまれないようにだろうな。

そんな谷川教官の優しさが嬉しかった。


「はい、わかりました!」

私が返事をすると

「よし!じゃあ、最後の1時間頑張って!」

そう言って谷川教官は教室へ入った。


私は後ろのドアから同じ教室へ入る。

今日この時間は私だけ。

いつも一緒に学科を受けている仲間の彼は急遽送迎へ行ってしまった。


けど、その彼がいなかったからこそ谷川教官と話せたのかも。


送迎を頼んだ方にちょっと感謝。
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