夜色オオカミ
「とっても可愛いよ!!」
「とっても優しかった!!」
「「胸もけっこうおっきいしね~!」」
最後の言葉には苦笑をして、では後で挨拶しよう…と言い彼らと別れようとしたその時―――
「あ!姫君だーー!……もう帰っちゃうのかなぁ~…」
紅のその言葉に振り返り……
紫月はそのまま固まったように十夜と共に車に乗り込む花嫁を見つめた。
「う~ん。やっぱり美少女だよね!……紫月??」
目を見開き固まる紫月をいぶかしんだ蒼が彼の前でひらひらと手を振った。
「……彼女は本当に…『若様の』運命の花嫁なのか……?」
彼のセリフに双子は驚いた。
「……ここ(真神)にいて何言ってんのさ…??《運命の花嫁》は一人に対して絶対に一人でしょ?」
蒼が言うと、
「そうだよ!花嫁を間違えるはずなんか絶対ないでしょ??」
紅も間違いないと答えた。
「それも……そうだ……」
紫月はそうつぶやくとスッとその場から無言で立ち去ってしまった。
「「……変な紫月」」
後に残された双子達は呆然とつぶやいた。