夜色オオカミ
「あいつは間違いなく、俺の祈咲を狙ってるんだな……!?」
「………っ!!」
怒りを抑えきれずに放たれた十夜の言葉に、ビクリ!と肩が震えた。
それに気がついた十夜は少し辛そうな顔をして
「…っ!……悪ぃ…。おまえは何も悪くねぇんだからな……?」
あたしの頬に優しく手を添えて、安心させてくれるように優しい声で言った。
「……十夜…っ…」
あたしからは、まるですがるような声が出た。
十夜は優しく、ん…?って聞いてくれるけど
「………っ。」
紫月さんが本当にあたしを狙っているのなら……それは……
十夜に、一族に対する『裏切り』―――――………
あれほど仲間を大切にしてる十夜は
今……どんな気持ちでいるの……?
だから、あたしにはその笑顔が痛くて……!
あたしに……っ
そんな……泣いてるみたいに笑わないでよ……!
本当は
心の中で泣いてるような……
あたしにまで無理をする…優しい十夜が切なくて、苦しい……。