夜色オオカミ
優しく笑う十夜に胸が締め付けられた……。
あぁ……あたし、本当にぼんやりしすぎだ。
十夜を見れば
帰ったばかりの十夜は、まだ学生らしからぬダークスーツに身を包んでいて……
着替えもせずにまっすぐあたしのところに来てくれたのがわかった。
あたし、
十夜に、おかえりすら言ってないよ……。
強くなりたい、負けたくないなんて思ってたくせに
大好きな人を笑顔で迎えることも出来なかったなんて……
――――情けない。
「……ごめんね。十夜…。」
「…うん?」
小さな声でつぶやくように謝った。
十夜はよく聞き取れなかったようで、不思議そうな顔をしてた。
だけど、もう一度謝り直すことは…しなかった。
「おかえりなさい……!」
「………!」
かわりに、遅くなったけど…笑顔で十夜に飛び付いた。