夜色オオカミ







――――次の日



今日は曇っていて朝から妙に薄暗い。



「………体育めんどくさいよねー。」



「昨日のさぁ~…」




クラスメート達がざわめく教室



それはいつもと変わらない風景



だけど








「萌花……来てないの………?」



あたしはいつもの景色に足りない…空席になった前の席を見つめながら



ポツリ…つぶやいて、見当たらない親友の姿を探した。



「…灰斗に連絡してくる。」



十夜が真剣な顔をしてサッと素早い動きで教室を出ていった。



それだけでもう



十夜の直感が何かを感じとったんじゃないかと思った。










――――ポツリ…ポツリ…灰色の空から雨が落ち始める……。










「………萌花……。」



どうかどうか、思い過ごしでありますように……。



あたしは教室のドアを一心に見つめて、いつもの笑顔で萌花が現れるのをひたすらに待った。









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