夜色オオカミ
「十夜……、灰斗はなんて……?」
教室に戻れば、楽しそうに話しをするクラスメートから取り残されたような祈咲が、あまりにも心細そうな顔で俺を待っていた。
まるですがりつくように俺の腕に弱々しく震える手でしがみつく。
その手を包み込むように握りしめて、俺は祈咲に向かって笑いかけた。
「灰斗から離して貰えないらしい。
だから……大丈夫だ。
灰斗のところならなんの心配もねぇよ。」
言って小さな頭を撫でてやる。
「……そっか……よかった……。」
ほっと胸を撫で下ろしたような祈咲の頼りない笑顔に胸が痛んだ。
大丈夫なんかじゃねぇ………。
鈴木は間違いなく紫月の手の中だ。
何としても助けるから……
――――嘘ついて、ごめん。