夜色オオカミ
その着信は十夜が教室から出ていくと同時に鳴り響いた。
狙いすましたそのタイミング…。
普段、知らない番号からの着信には絶対に出ないと決めているあたし。
だけど、
出なければいけないと…通話ボタンを、押した。
『大切な話』と紫月さんは言った。
ざわつく教室のぽつんと空いた机を見つめる。
思わず、ゴク…と喉が鳴った。
「萌花…を、どうしたの……?」
震えるな、震えるなと願いながら…グッとお腹に力を入れて声を振り絞るようにして出した。
『これは話しが早い……。
こちらで預からせていただいているよ。』
「卑怯者……!!」
あっさりと白状する男に益々嫌悪感が強くなる。
「すぐに…っ、返して……!萌花は無関係でしょう!?」
『そうかな?
彼女とて人狼の花嫁だろう……?
無関係でなどいられるものか。』
「………!?」