夜色オオカミ




《直感と運命》――…



黒く大きな狼はそう言った。



あたしはベッドに横になり頭から毛布をかぶって、ひざを抱えるようにぎゅっとまるまった。



今日は非現実的なことがありすぎたんだ。



帰ってきたのは深夜2時すぎ……



マガミトウヤと名乗った狼はあの後本当に家まで送ってくれた。



『動物園に帰るの?』って聞いたら、冷たい目をして自分の家に帰るって怒られた。



最後に、『また明日』って言ってふさふさのしっぽをひるがえし帰って行った。



また、明日……。



明日また狼は現れるのかな………?



どこで逢えるの?



あの、公園とか?



でも、家を知ってるからここに来る?



まずはよく解らない《直感とか運命》の説明してもらおうかな……。



それに、マガミトウヤが言ってた《運命の花嫁》って………何…………??



後は……はじめにマガミトウヤを見た瞬間に感じた



何とも言いようのないあの甘く狂おしい不思議な気持ち。



あの瞬間、あたしは狼に恋い焦がれでもしているかのような気持ちに支配された。



あれは、何…………?







ぼんやりそんなことを考えながら



あたしはずぶずぶと眠りの世界に入り込んでいった。








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