夜色オオカミ
「…………。」
目覚めると、辺りはまだ真っ暗で…でもここはあたしのよく知る真神の家のあたしの部屋だった。
ふと気がついて温かな左手に視線を向けた。
「……十夜……?」
あたしの手をきつく握りしめたまま……椅子に座った十夜がベッドに伏して寝ていた。
きっとすごく疲れてたんだね……。
あまりにも無防備に眠ってる十夜を初めて見て、そっとその艶やかな黒髪に手を伸ばした。
ずいぶんと深い眠りから目覚めた気がする。
十夜の元に帰れた安心がそうさせたのかも知れない。
グッと手を伸ばしてみるものの身体はまだどこか重たくて、起き上がるのも億劫だ。
「………ん…。祈咲……?」
「…ごめん。起こしちゃった……。」
せっかくよく寝ていた十夜を起こしてしまった申し訳なさに、目をこすりながら起き上がる十夜に謝った。