夜色オオカミ
橙伽さんてすごい人だ………。
普通の人なら間違いなく十夜にこんなこと言えないよね……。
小さな頃からお世話をやかれていただけあって、十夜もどこか橙伽さんには頭上がらない感じなんだよね。
思わず感心するあたしをよそに、橙伽さんが急に真剣な顔つきに変わった。
「お戯れはさておき、
――紫月に動きがありました。
異常事態です。」
「…………!?」
その名前を聞いて反射的にあたしの肩がビクッと震える。
それに十夜の顔が険しくなった。
「…………言え。」
静かな声に怒りが見える。
橙伽さんはゆっくりと口を開いた。
「…真神の者が手当たり次第に《狩られて》おります……。」
「「…………!!!」」