夜色オオカミ







「………祈咲ぁ~?」



「………!」



萌花の声に、あたしはハッと我に返った。



顔をあげると萌花がきょとんとした顔をしてあたしを見ていた。



「ごめん……!ぼうっとしてた…」



あたしは今日朝から、萌花が入院してる病院にお見舞いに来ていた。



「何かあったの?ずうっとぼうっとしてるわよ」



萌花は心配そうに眉を寄せ、あたしを見つめてた。



「大丈夫。ちょっと寝不足だっただけ。

萌花こそもう大丈夫……?」



紫月さんに薬を使われ……錯乱状態にまでなった萌花は真神の経営する病院に入院していた。



萌花の両親には急性胃腸炎だと説明されているんだって…橙伽さんが言っていた。







< 262 / 472 >

この作品をシェア

pagetop