夜色オオカミ




『雪夜!雪夜!

ユリに赤ちゃんが出来たの……!!』



『落ち着いて、ヒナ。

兄さんから聞いたよ。』






二年後――



兄さんと白百合の間に小さな命が宿った。



雛菊はまるで自分のことのように喜び、はしゃいだ。



そして悲しげな顔をして、私に打ち明けた。



『…あたしはね、子宮ガンで…子宮を無くしたから、赤ちゃんを生めないんだ……。』



『………!!』



サラリと……だけど、微かに震える声で…雛菊は私に『ごめん』と言った。







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