夜色オオカミ
『……!!
雪…夜…?』
私は雛菊を抱き締めて姉の白百合よりも若干丸い瞳を覗き込んだ。
『僕も子供は作れない。人狼のアルビノであるせいか…僕には精子がない。』
『………!?』
私の告白に雛菊は言葉も出せなかった。
強ばる彼女の身体が、その驚きを伝えた。
それは14歳の夏にわかった事実。
本を読み漁る中で何となく得ていた生殖能力の知識。
ありとあらゆるものが強い兄に対して自分の身体は弱い……
では、アルビノにそれはあるのか?…ほんの疑問。
引っ張り出した顕微鏡。
単なる好奇心は、
――――私に残酷な現実を見せつけた。