夜色オオカミ

ピンチと狼









この日はずいぶんとついてない1日だった。



お弁当を忘れて来ちゃって購買に行けばあんパンとジャムパンしか残ってないし、



苦手な数学の授業ではわかりもしないのにあてられちゃうし、



しかも今日は課題のプリントまで出ちゃって、数学の竹田センセはスッゴい厳しくて有名……。



絶対に忘れられない…なんて友達とも話しながら帰ってきたというのに



…あっさり忘れちゃって……あたしのバカ。



それも夕ごはん食べてお風呂に入って、さぁそろそろ眠くなる前に課題やっちゃうか…なんて思ったそんな時



ない、ない、ない!?



スクバの中も机の上もひっくり返して探したけど影も形もありやしない。



ばっちり学校の教室の机の中だ………。



ヤバイ。



外、暗いな。



でも、こいつを忘れる勇気あるやついないよね……?



あいにく両親は揃って仕事大好きな仕事人間。



今日も残業中で帰りは遅いに違いなく



もう遅いんだし、危ないからやめなさい…の一言を言ってくれる人は誰もいなかったわけで…









「マジ、ちょ~可愛くね?」



「俺らツイてるよな~」



「………っ!」



しっかり握ったプリントと



22時を少し回った時間、近道にある人通りのない公園。



早めにたむろしちゃってるヤンキー君達。



ピンチのあたし



天宮 祈咲(アマミヤ キサ)16歳。










――――あたし、マジでついてない。








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