夜色オオカミ
『……《呪われた…牙》……?
ユリを…この手に抱けるのなら……
全てを……捨てる。』
閲覧禁止の禁書に手を出した兄……。
半月の夜
花嫁の月を背に
真神家の敷地の奥深く……白百合の咲き誇る草原が
真神一の力を誇る《黒き狼》の狂気に震撼した。
『……嘘だ……!兄さん……!!
雛菊ーーー!!!』
白き百合を紅く紅く血に染めて……
毒々しく染まった牙でくわえたのはぐったりと目を閉じる……私の花嫁
兄は、雛菊を
――――連れ去った……。