夜色オオカミ




速く



速く



狼に姿を変えて、森の奥深くへとひたすら駆けた。



吐きそうなほどの濃い血の香りを追って…



兄を追ってあの場から走り去った時、残像のように脳裏に絡み付いた…血にまみれた仲間達……。



不気味すぎる兄の牙の色。



次から次へと走馬灯のように浮かび上がる全ては、まるで現実の事とは思えないほどに



残酷で悲しくて…どす黒い紅に染まっている。



一体…あなたは何をしようと言うの?



兄さん……。







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