夜色オオカミ
白き花嫁の願い
――――……
――――ぼんやりと…
まどろみの中に漂う意識が覚醒する。
ううん…、覚醒なんて言えないかも。
夢と現(うつつ)の狭間のようなこの――白い世界。
…わかる。
『……心花?』
前回と違って声を出せたことに驚きながら、指先すらわからない一面の白い世界の中で…あたしを誘(いざな)ったはずの彼女を呼んだ。
『当たりだよ。…祈咲。』
『……!』
はっきりとした穏やかな声が、すぐに返事をくれた。