夜色オオカミ
甘えるように狼に擦りよった。
「……祈咲…?」
十夜はすぐに反応して…だけど、まだまどろみの中にいるような掠れた声であたしを呼んだ。
手を伸ばせば、そこに十夜がいて…
手を伸ばせば、すぐにあたしを呼んでくれる。
「怖い夢でも見たか?」
「………っ。」
狼は子供をあやすように優しい声であたしの髪に鼻先をくっつけた。
あたしはただ十夜のあったかな黒い毛皮に顔を埋めて頭を振った。
「あたし…あたしのお姉ちゃんを……助けたいよ…。」
心花を探して空を掻いて…
温もりすら与えることの出来ない自分が…酷くもどかしくて、情けなく思えた。
溢れた涙が、静かに十夜の毛皮を濡らした…。
十夜は何も言わずあたしに優しく寄り添ってくれていた。
そして
「おまえがそれを望むなら、俺は全ての力でその望みを叶えてやりてぇよ……。」
「……!」
十夜…
嬉しくて、嬉しくて…
もう、言葉も出せない。
十夜があたしに力をくれるといつも…きっと、叶わないことなんてないと思える。
――――絶対、みんなを助ける。