夜色オオカミ
追うものと追われるもの
「まちやがれ……っ!………この……っ」
「無理ーー!!」
――――バタバタバタ……!!
学校の廊下に響き渡る足音。
あたしはあたしを追いかけてくる男から必死で逃げる。
「こらぁー!廊下走るな~~っ!!」
途中、数学の竹田先生に見つかって怒鳴られる。
「ごめんなさぁい!!」
一応で謝りつつもあたしの足は止まらない。
すぐそこに迫ってくるもうひとつの足音を聞いて、慌てて使われていない第5音楽室に避難する。
それからキョロキョロとうまい隠れ場所を探して、使われていないオルガンの下にうずくまった。
でも…まだ安心は出来ない。
ヤツは恐ろしいほど勘も鼻もいいから。
思えば初日に何の迷いもなく屋上にたどり着いたのだってその《直感》があったからだ。
それにしても……
しつこいよ~…。
アイツほんとにしつこいよ~…。
そう思いながらひとまずほっと息をついた。
だけど
「見つけたぞ。」
「………ぎ……」