夜色オオカミ
――――代償により…人の姿を手離す――…
全てをかけた《呪い》という意味を…今、改めて理解する……。
「真神咲黒の死を…真神の歴史より葬らねばならなかったのは、この為でもある…。
只でさえ、我々の姿は普通の狼とも違う。
死した時…真神咲黒の遺体は巨大な狼だった。
真神の秘密を外に漏らす可能性を公に弔うことなど出来ないのだからな。」
「………っ!」
ぎゅっと締め付けられた胸の痛みに、息が出来なくて…胸を押さえて深く息を吸い込んだ。
本当に…全てを捨てる気なの……?
心花は……これを止めたかったんだね……。
彼女はきっと…知っていたはずだもの。
…辛かったね……心花。
だけど
「私の手の中に残るものは…心花だけでいい……。」
「……!!」
虚ろな目をした狼がゆらりとあたしに近づいてくる。
あなたを助けたくて…あなたの幸せだけをあの子は望んでいるというのに…
どうして、届かないの……?