夜色オオカミ
「わかって下さい……!!心花はあなたのそんな姿望まない…!
自分の為に…あなたに…仲間を手離すなんて…人の姿までもを手離すなんてしてほしくなんてないんです!」
「……黙れ。」
低い声が呟くように彼の口をつく。
あたしは悲しくて悔しくて…想いを止められない。
「こんなことしても……あなたが手にするものは何もない!
…心花すらも、失うわ……!!」
「……黙れ!!!」
苛立ちをそのままにあたしをギロリと睨み付ける。
鼻にしわを寄せ、牙を剥き出しに怒りにまみれた狼が牙を剥く。
本当にもう…駄目なの…?
必死に願っても…紫月さんは今にも飛びかかってきそうだ。
「………っ!」
悔しいよ…心花…。
あんなにも必死なあなたの想い…届かない……!
ぎゅっと目を閉じた。
――――ザザァッッ!!
「……!?」
地を掻く音が響いた。
閉じていた目を開けば……
「……っっ!!」
もう…こうして…何度庇ってくれただろう……小さな背中。
「「姫君にそんなことさせない!!」」
また、助けに来てくれた……。
「紅ちゃん…蒼ちゃん……!」