夜色オオカミ
「………だって…まだ、ほんとに逢ったばっかりなのに………!
……こんな………っ」
あたしはうるさく騒ぐ胸が苦しくて…恥ずかしくて、ぎゅっと胸元を掴む。
あたしが屋上でこの男の顔をぶん殴ってから一週間………。
あの日からあたしは毎日逃げ回ってる。
決してあたしを逃がさない…この狼から。
不覚にもときめいてしまったあたしの胸は、あの時のままうるさく騒ぐ。
逢ったばかりでこうも惹き付けられる自分が何だか恐くて……
あたしはそれを素直に認められないでいた。
そんなあたしに真神十夜は呆れたような顔をして
「だから言ってんじゃねぇか……。
それが人狼と花嫁の切れねー絆だって。
まぁ、おまえとの追いかけっこは楽しいけどな……。
でも………いい加減落ちやがれ。」
「…………っ!」
耳元で囁かれる甘い美声にあたしの肌がゾクリとあわ立つ。
――――そう
このゴーインな狼は待ってはくれない。