夜色オオカミ
返事をくれるはずもないお墓に声をかけ、あたしは更に近づいた。
そっと手にしていた白百合の花束を添え、手を合わせて瞳を閉じた。
目を開くと、きちんと手入れの行き届いたお墓に何もする事はないけど、気持ちばかりの掃除をして
「………。」
大きな四角い墓石の側面にびっしりと刻まれた文字に目をとめた。
…ここで眠る、人狼達と花嫁達の名前が刻まれているんだ。
その中でも、真新しく彫られた名前に手を伸ばした。
「……よかったね。」
指でその名をなぞりながらポツリと呟いた。