夜色オオカミ
「今日は冷える。…着とけ。」
「……!」
バサリと、自身が着ていた黒い薄手のコートを十夜はあたしの頭からかけた。
それからお墓に視線を向けて、あたしと同じように刻まれた名前に手を伸ばした。
心花の隣……二つ目は、《紫月》。
「……もう、一月(ひとつき)か…。」
紫月さんの名前をそっと手でなぞりながら、十夜は感慨深げに呟いた。
「うん……。」
そう
――――あれから…もう一ヶ月、経ったんだ。