夜色オオカミ




橙伽さんとあたしで十夜に腕を貸し、支えながら紫月さんの傍に行った。



大きな紫色の狼の亡骸を目前にした十夜は、きつくきつく…拳を握りしめた。



『呪われた牙を…俺の為に使ったのか……?

自分の…寿命を…使って……!!』



やるせない叫びが十夜の口をつく。



酷く掠れた声は誰もの胸に染み渡り…胸の痛みを増幅させた。



十夜が息を吹き返したのに…助けてくれた紫月さんのすぐには受け入れることの出来ない……死があった。











天を仰いだ。







空はこんなにも清み渡っているのに



この青さが……涙の色に見えた。










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