夜色オオカミ
『紫月…笑ってるんだよ……。』
紫月さんの顔を覗き込みながら、涙声で紅ちゃんが言った。
蒼ちゃんがそれに賛同するようにポロポロと涙を流しながら大きく何度も頷いた。
あたしも彼の顔を見つめた。
『………っ!』
その瞬間、あの時の紫月さんの柔らかな笑みと…言葉が頭の中に優しく響いた……。
『……十夜…紫月さん、きっと今…幸せなんだよ……』
苦し気な顔で動かなくなった紫月さんを見つめる十夜に声をかけた。
『祈咲…?』
『言ってたから…希望だ…って…。』
『希…望……』
その言葉を呟いて、十夜の瞳が見開かれる。
そう…紫月さんは言ってたんだ……。
『私の希望って…
だから…感謝する必要はない…って…
心花も、それを望むんじゃないかって…勝手に思ってる…って……!』
『………!!』