夜色オオカミ
紅ちゃんと蒼ちゃんが泣きながら駆け寄ってきた。
『『わ゛か゛さ゛ま゛ぁ゛ぁーーっ!!』』
『ぅお゛…っ!?』
二人は十夜に飛び付いて、いきなりお腹に飛びのられた十夜からは…うめき声。
それでも痛みを堪え苦笑を浮かべながら、しっかりと自分にしがみついて泣く二人を傷だらけの腕を必死に動かし抱き締めた。
『『とぉや兄ちゃぁぁあん!!!』』
『紅…蒼…』
優しい声で名前を呼んで…二人を抱き締めたまま、あたしに向かって顔をあげた。
『一発……ぶん殴ってやりたかった…のによ……。』
『……!』
『……無駄に、しねぇぞ。……この、命――』
《ありがとう》
…そう呟いて、十夜はぎゅっと…目に浮かんだ涙を乱暴な仕草で拭った。
―――――………