夜色オオカミ
墓石を見つめていた十夜がニヤリと笑ってあたしに振り向いた。
「……あいつ向こうで、心花に怒られてんじゃねぇか?
勝手なことして!…って。」
笑いながらそんなことを言う十夜に思わず吹き出した。
「やめてよ…!…でも、心花ならその後は…よくやったわねって…笑いそう…。」
お墓に供えられた白い花のような笑顔が浮かんで…胸がほんわかと温かくなる。
「…早く二人に逢いたいな…。」
仲良く並んだ名前を見ながら微笑んだ。
十夜はそんなあたしの腰にそっと手を回す。
「もうすぐ、一人には逢えるだろ……?」
「………。」
優しく切れ長の黒い瞳を細めながら、十夜の手が…あたしのお腹に触れた。
紫月さん…
あなたの直感は、……当たりましたよ。