夜色オオカミ




墓石を見つめていた十夜がニヤリと笑ってあたしに振り向いた。



「……あいつ向こうで、心花に怒られてんじゃねぇか?

勝手なことして!…って。」



笑いながらそんなことを言う十夜に思わず吹き出した。



「やめてよ…!…でも、心花ならその後は…よくやったわねって…笑いそう…。」



お墓に供えられた白い花のような笑顔が浮かんで…胸がほんわかと温かくなる。



「…早く二人に逢いたいな…。」



仲良く並んだ名前を見ながら微笑んだ。



十夜はそんなあたしの腰にそっと手を回す。



「もうすぐ、一人には逢えるだろ……?」



「………。」



優しく切れ長の黒い瞳を細めながら、十夜の手が…あたしのお腹に触れた。














紫月さん…



あなたの直感は、……当たりましたよ。










< 462 / 472 >

この作品をシェア

pagetop