夜色オオカミ




「………。」



想像だけで落ち込んじゃったりしてる自分がやだ………。



あぁでも、人狼は生涯に一人しか愛さないって…言ってたっけ。



あたしの初恋っていつだっけ?



確か5歳の時!
笑顔が爽やかだった幼稚園の河野先生!



懐かしいなぁ…なんて思いつつ、でもそれって小さな頃の他愛もない思い出。



それから先はとくに男の子に興味を示すことなく今に至ってるあたしって………。



「……………。」



切なくて苦しいのも



恥ずかしいのも



嬉しくてたまらないのも



全部あなたに会ってから………。








ねぇ十夜……



あたしはあなたをずっと待ってたのかな………?



初めて逢った時に言ってくれた、



『俺はおまえの為に生まれた。おまえは俺の為に生まれた……』






何度も、思い出すよ。







あたしは到って普通の人間で、人狼のあれこれは解らないけど



あなたの言う《運命の花嫁》に



今ちょっと









なりたい………。










恥ずかしくて



絶対まだ言えないけど



ゆっくりと…でも確実に



あたしはあなたの黒い瞳に捕らえられてるから









あたしに勇気が出来るまで



もう少しだけ









待っててくれる………?







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