夜色オオカミ
今度は俺がニヤリと笑う。
一発ぶん殴って苛立ちは多少薄まった。
たまには役に立つじゃねぇか。
そう思いながらブツブツ文句を言いつつ頬を触るデカイ男を見た。
精悍に整った顔の左頬が赤く腫れていた。
「で?マジで何かハズカシイコトしちゃった訳?――あっ!ウソです!ウソ……!!」
俺が拳を握りしめたのを悟った男は早々に引き下がる。
「本気で何の用だよ?」
じろりと睨むと、灰斗は短かくツンツンした髪をガシガシ掻いて…決まり悪そうに俺を見た。
「おまえが花嫁を見つけたって聞いたからだよ………。」
そっぽを向いてボソリと言う。
それで、ピンときた。
「でも言った通り、なかなか落ちねぇ花嫁なんだよ。」
「んなもん時間の問題だろ?………俺はもう2年も探しっぱなしだぜ?」
「…………。」