夜色オオカミ
我慢してた気持ちが溢れてこぼれてしまいそう………
気持ちは涙に変わって、
あたしの目からほんとに溢れた。
「…………祈咲……?」
それに気付いた十夜が心配そうな顔をして、戸惑いながらあたしの頬にそっと触れた。
あたしの頬を包み込む大きな手はあったかい………。
壊れものでも扱うみたいにそうっとあたしに触れる手は…十夜の心みたいに優しい。
「………!」
ぎゅっとその手を握りしめた。
あたしの小さな両手で必死に。
涙をこらえてまた顔を上げた。
「…………好きぃ……!!」
「……………!!!」
一瞬…あたしの好きな黒い瞳が見開かれて
すぐに見えなくなった。
――――まるでかき抱くように抱きしめられたから。