夜色オオカミ
あたしはもう十夜のセリフに心臓ドキドキで………!
ぽ~…っと綺麗な顔に釘付けで……
「(そこだ…!若様押し倒せ…っ)」
「(姫君はもう完璧きゅん死に寸前だ~っ!)」
「…………。」
なにやら………。
「…………。」
チラリと十夜を見つめれば
こめかみを押さえて、はぁー―…っと深いため息をついていた。
それからスタスタ広い廊下を歩いて行き、
隅にうずくまる小さな二つの影を―――
――――ガシッ!!
「「………!!?…あ…、若様おかえりなさぁい~……」」
可愛らしい声をハモらせて
十夜に首根っこを掴まれぶら~んと吊るされた小学生くらいの双子の男の子。
「……紅(ベニ)、蒼(アオ)……。
餓鬼が覗き見とはいい度胸じゃねぇか………?」
「「………!!」」
目がくりっと大きくて髪の色だけ違うそっくりの双子ちゃんは驚くような美少年。
でも………
頭の上にはピーンと尖った獣の耳が……っ!!
お尻にはふさふさのしっぽが……っ!!
もういい加減なれようよ……。
そんな事を思いつつ…やっぱり凝視してしまうあたしだった。