夜色オオカミ
どの本も普通の高校生の読むような軽いものじゃない。
それを十夜は全部読んでるんだ。
「俺は、真神の跡取りだからな…。」
「………!」
十夜は静かに話し始めた。
「俺の親父じゃなくて、じいさんが今だに当主なのは何でだと思う?」
それはあたしもずっと不思議に思ってた事だった。
十夜には、ちゃんとお父さんがいるのに…
お父さんじゃなくて、十夜が次期後継者なのはどうして…?
「親父はアルビノだから…」
「アルビノ……?」
よく解らない答えにあたしはつぶやいた。
「親父の髪の色見ただろう…?瞳も……」
「うん…。」
十夜のお父さんの髪は綺麗な白髪で…瞳は珍しい赤だった。
「親父は白い狼なんだ。色素が欠落した…。
…アルビノは当主にはなれねぇから。」
「どうして…」
「俺達の力の優劣はどういう訳か毛色によるんだ。
黒に近いほど……強い。
…親父の力は無いに等しい。」
「……!!」
「伯父もそうだ。
アルビノじゃあねぇけど、白に近い灰色で…同じくらい当主には向かない。」
伯父さんって言うのは灰斗のお父さん…。
十夜のお祖父さんの息子達には、力が強い人がいないんだ。