新しい年の恋人 短編
「ダメでしたか…?」
何も言えない俺に目線を下げて言う。
「いや…ありがと…」
変に緊張しちまって俺はうまく言葉が使えない。
どこのガキだ、俺は。
自分を落ち着かせようと言い聞かせるものの、この女を見る度に……。
緊張して鼓動は高まり、気持ちが溢れてくるように、ますます騒がしくなる自分。
どこか違和感を感じる自分に戸惑いつつ答えを探してみれば、出てくるのは惚れたという……恋というもの。
まさか俺が…と。
好きになったことのある女だっている。
恋もしたことある。
だが、こんなガキみたいな気持ちは……初めてというか、久しぶりというか……。
なんとも言えない感覚で。
俺は緊張を、高ぶる気持ちをおさえるかのようにすぐさま飯に食い付く。
ガツガツと食べていると、視線を感じた。
視線の先には驚いたように、でも嬉しそうに俺を見る閖の姿。
あっちも俺を見てて、俺もあっちを見ているものだから、当たり前に目があって……
無償に照れ臭くてまた閖の作った飯に食べ始めた。