新しい年の恋人 短編
飯を食べ終え食器を洗い、閖の引っ越しの手伝いをする。
少しずつ物を置いていけば、女らしいのにくどくない、清潔感のあるシンプルな部屋が見えてきた。
閖の部屋が見えてくるうちに、何故か気分がよくなってきて幸せな感情が芽生える。
まるで初めて彼女の家に来たガキだ。
いや、それ以下かもしれねぇ。
俺の小さな幸せに気づくはずもないその本人はどこにいるのかと周りを見渡せば、隣の部屋にいた。
考えてもいないのに動く足は、俺の本能なんだろうか?
用もないのに声なんてかけていいのか?
そんなの不自然だしな…。
次なにやればいい?って問いかければいい……?
そう思いながら近づけば、リクと閖が仲良さそうにしているところ。
イライラしてきて思わず閖の部屋を出た。