新しい年の恋人 短編
「瑞希ちゃん、もう終わったの!ありがとうね」
少し申し訳なさそうにでも笑顔で言う閖。
俺に見せた表情でもないのに、何故か気分がよくなる。
まぁ、相手が瑞希だからかもしんねぇけど。
リクだったら嫌だしな。
「へぇー…」
意外って顔をして俺を見る。
今、おまえは閖と話してただろうが。
なんで俺の顔見んだよ。
そう思いつつその表情に答えるように話す。
「リクも来てたんだよ」
なるほどって表情を浮かべれば瑞希は“じゃあ帰るわ”なんて言って部屋を出ていった。
「じゃあ俺も帰るかな…」
別れたくはないが、彼氏でもない俺がそのまま居続けるのは明らかにおかしい。
仕方ねぇ。
いつかは帰らなきゃなんねーし。
そう言って伸びをすると、閖が潤った瞳で俺を真っ直ぐに捕えながら言った。
「……もう、帰っちゃうんです…か?」
自分でも言った後にびっくりして顔を赤く染めあげる。
その言葉に目を見開いて、その反応に俺の顔も熱る。