新しい年の恋人 短編
新年
閖が引っ越してきて、5日が立つ。
閖からのメールはきてない。
こっちからもなかなか送れずに、なにもやれずにいた。
大晦日と言うことで、いつもよりまったりの俺と瑞希。
そしてテレビのリモコンを取り合ってる。
「おまっ、瑞希!てめ歌うまを見なきゃ年は越せねーだろが」
「はぁ?去年お笑い見なきゃ年は越せねーって言ったの兄ちゃんじゃん!」
お互い、歌うまだ、お笑いだと一歩も譲らずにチャンネルを変える。
その険悪な雰囲気に合わない着うたが流れる。
「兄ちゃん、メールじゃね?」
その音に静かになったその場。
「あぁ…」
そう呟きケータイを開いた。
画面に映された人物の名前に背筋がぞくっとする。
決して寒気ではなく、驚きからで…。
その驚きは、やがて嬉しさとなっていっぱいになる。
“道川閖”と表示された画面。
俺の口元が思わず緩む。
そこには可愛く絵文字が使われて、イメージ通りのメールにまたテンションか上がった。